日本語サイトトップ > 製品技術情報 > アプリケーションノート > 水晶振動子

水晶振動子

用語 の説明

水晶振動子に用いられる主な用語についてご紹介致します。

水晶片 使用上の目的に適合するような形状、寸法及び方位に切断した水晶素板をいいます。
電極 水晶片に電界を印加するため、水晶片の両面に密着形成された導電牲の薄膜をいいます。
保持器 水晶片、電極及びそれらの支持系を内部に収容して、これを機械的及び耐侯的に外部条件から保護するとともに、電極と外部回路とを電気的に接続させる端子を持つ容器をいいます。
水晶振動子 電極を備えた水晶片を支持し保持器に封入したものです。
オーバトーン次数 ある与えられた振動モードにおいて、基本波振動を1として、相次いで存在するオーバトーン振動に対して順次増大していく整数から割り当てられた数をいいます。
直列共振周波数 共振点の近くにおいて、水晶振動子の電気的インピーダンスが抵抗性となる二つの周波数のうち、低い方の周波数をいいます。
負荷容量 水晶振動子を水晶発振回路で使う条件として決めるためのもので、発振回路において、水晶振動子の両端子から発振回路側をみた実効的な静電容量をいい、水晶振動子の発振周波数が決定されます。
公称周波数 水晶振動子の周波数の公称値をいいます。
直列共振状態 負荷容量が無限大に相当する場合の共振状態をいいます。
周波数許容偏差 水晶振動子の周波数の公称周波数からのずれをいい、公称周波数に対する比率で表します。
等価直列抵抗 直列共振周波数における水晶振動子の等価抵抗値をいいます。特に混乱のおそれがないときは、単に等価抵抗とも呼ばれています。
負荷時等価抵抗 水晶振動子に負荷容量を直列接続した回路の共振点の近くにおいて、電気的インピーダンスが抵抗性となる二つの周波数のうち、低い方の周波数における抵抗値をいいます。
動作温度範囲 指定された許容値の範囲内で水晶振動子が動作する温度範囲をいいます。
励振レベル 水晶振動子の規定の動作状態における電力又は電流のレベルをいいます。
主振動、副振動 公称周波数の付近にいくつかの共振周波数がある場合、共振の最も顕著なものを主振動、その他を副振動といいます。

水晶振動子の構造

 水晶片は表1に示すようにいろいろなモードで機械振動をしています。この機械的な振動を電気信号に変えてその出力を有効にとり出すにはできるだけ振動を抑圧しないように水晶片を支持する必要があります。
 図1は厚みすべり振動子の内部構造の一例を示します。水晶片は、すべて機械的振動の変位が少ない部分を支持・固定されています。
 更に振動子の特性が劣化するのを防止する為に気密容器に封入しております。


図1 水晶振動子の内部構造

NX3225SA型水晶振動子 NX8045GB型水晶振動子


表1 主な水晶片の振動姿態、周波数範囲と容量比
振動姿態 切断方位 周波数範囲 (kHz) 周波数計算式 (kHz) 容量比 (Typical値)
厚みすべり振動

AT基本波 800~5000
2000~80000
1670/t
1670/t
300~450
220
AT3次オーバトーン
AT5次オーバトーン
AT7次オーバトーン
AT9次オーバトーン
20000~90000
40000~130000
100000~200000
150000~230000
1670×n/t n²×250
n:オーバトーン次数
BT基本波 2000~35000 2560/t 650
屈曲振動(音叉)
+2°X 16~100 700×w/l² 450
屈曲振動
XY
NT
1~35
4~100
5700×t/l²
5000×w/l²
600
900
伸張振動
+5°X 40~200 2730/l 140
輪郭すべり振動
CT
DT
SL
250~1000
80~500
300~1100
3080/l
2070/l
460/l
400
450
450

切断方位と振動姿態

 水晶振動子は、その使用目的(発振周波数、電気的特性)によって結晶軸からの切断方位を選んでいます。図2は主な切断方位を表わしています。また、表1はその振動姿態、周波数範囲、容量比のTypical値を示したものです。
 例えば、最も広く使われているATカット板はZ軸から約35°15′だけ傾けた面に平行な板となります。また28MHzの水晶振動子を基本波モードで励振させた場合の水晶板の厚みは、約0.06mmとなります。

切断方位と周波数

 水晶振動子は、その発振周波数が非常に安定であるということで広く利用されており、温度特性の良いものが要求されます。
 しかし、水晶振動子用として切り出された水晶片も一般の材料と同様に温度変化の影響を受けて、発振周波数が変化します。発振周波数の変化の程度(周波数温度特性)は、切断方位によって異なります。図3は、それぞれの切断方位の代表的な周波数温度特性を示したものです。温度特性の良い水晶振動子を得るために、 どのようにしているか、代表的な水晶板であるATカットについて図4で説明します。
 図4は切断角度の異なった3つの温度特性を示しています。図から明らかなように②の曲線は常温付近では、温度変化に対する周波数の変化が小さく、例えば-10~+60℃の範囲で使用する用途には非常にすぐれた特性が得られます。
 しかし、例えば-55~+105℃という広い温度範囲で使用する場合には、むしろ①の特性を使用する方が周波数変化を良好に保つことが可能になります。
 従って、その使用目的、使用温度範囲に対して、製造及び経済的な見地から最も適当な温度特性を決定しなければなりません。
 図5はATカットの切断角度を2分ずつ変えた場合の周波数温度特性を示したものです。振動子の使用温度範囲およびその温度範囲における周波数許容変化幅で切断角度の許容幅が決定されます。
 図6は周波数温度特性規格に対する切断角度の許容幅(実現の困難さ)を示したものです。図から製造難易度(コスト)、実現不可領域が存在する事がわかります。



図3 主な切断方位と周波数温度特性の関係


図4 ATカット水晶振動子の周波数温度特性例

図5 ATカット振動子の周波数温度特性


図6 周波数温度特性実現の難易度

等価回路と特性

 水晶振動子の電気的等価回路は一般的に図7の様に表され、4つの等価定数は次の様に呼ばれます。
 L1:等価直列インダクタンス
 C1:等価直列容量
 R1:等価直列抵抗
 C0:並列容量

図7 水晶振動子の電気的等価回路
 これらの等価定数を用いることにより水晶振動子の主な特性を導くことができ、一例としてインピーダンスの周波数特性を図8に示します。
 又、水晶振動子の代表的な周波数及び性能を次に示します。
     

図8 インピーダンス―周波数特性
 一般的な水晶発振回路は容量性であり、図9の様に負性抵抗-Rと負荷容量CLの直列回路として扱うことができます。
図9 水晶振動子と発振回路との関係
 負荷容量値がCL及び直列のときの周波数を各々 fL、fS とすると次の関係が成り立ちます。
     
 図10にその一例を図示します。
 基本波に比べC1値の小さいオーバトーン振動子では基本波に比べCLに対する周波数変化率は小さくなります。

 又、一般的に小型の振動子では同一周波数の大型振動子に比べC1値は小さくなりますので、小型の水晶ほど負荷容量による周波数変化率は小さなものとなります。

 尚、図9の様に水晶振動子に直列に負荷容量CLが接続された場合の等価抵抗は次式により増加します。
     

図10 インピーダンス―周波数特性