超高純度人工水晶
「N-Grade EX」
超高純度人工水晶 「N-Grade EX」

特長

■超高純度

高純度原料を使用し、育成条件の最適化、徹底した品質管理を行って製造した超高純度人工水晶です。結晶中の不純物濃度、線状欠陥密度、インクルージョン密度を極限まで小さくし、人工水晶・品質規格「JIS C 6704」における等級において全ての項目でトップクラスの超高純度品です。純度が極めて高いことにより、水晶の持つ本来の特性を極限まで引き出すことが可能となります。高出力・短波長レーザー用として高耐性・高透過率を維持する効果、放射線照射に対して欠陥発生の少ない効果、宇宙用、放射線環境下での光学部品、高安定振動子用として優れた特性が期待できます。
表1にN-Grade EXと標準品(比較)のグレード表を示します。標準品と比較し不純物含有量が極めて低く抑えられています。
図2にN-Grade EXの赤外線透過率特性を示します。水晶の典型的な不純物OH基の含有を示す3585cm-1の吸収が標準品と比較してほとんどありません。

【表1 N-Grade EXと通常品(比較)グレード表】

【表1 N-Grade EXと通常品(比較)グレード表】

備考)

  1. 1)ブロックの有効最大サイズを示します。所定の大きさ、厚みに加工して納入可能です。ご指定ください。
  2. 2)インクルージョン密度はJIS-C 6704 に準じます。Iaグレードは光学用途のインクルージョンが最も少ない製品です。
  3. 3) 赤外線吸収係数α値はJIS-C 6704に準じます。水酸基‐OHによる吸収係数により規格化されています。
  4. 4)ICP-MSによる定量分析例です。不純物量を保証するものではありません。
    ご要望により原石毎の分析を行い添付をすることが可能ですが、その場合分析費用を別途頂戴いたします。
  5. 5)人工水晶は573℃に相転移温度があります。これ以下の温度でご使用ください。

【図2 N-Grade EXと標準品の赤外線吸収特性測定例の比較】

N-Grade EX

N-Grade EX N-Grade EX

標準品

標準品 標準品

測定装置 日本分光製 赤外分光光度計IR-700  ※Q値は参考値となります

■高透過率特性

図3に真空紫外域の透過率を品質グレード別に比較します。N-Grade EX は真空紫外域の吸収端近傍まで高い透過率を維持します。
一方、品質グレードが低いほど透過率の低下がみられます。

参考文献)
超音波techno 21(1) 75-78 2009-01 "人工水晶の紫外域における光学的評価"

【図3 品質グレード別 真空紫外域透過率データ(140~300nm)】

【図3 品質グレード別 真空紫外域透過率データ(140~300nm)】

測定装置: 日本分光株式会社製分光光度計 測定波長領域: 130~300nm

■高レーザー耐久性

193nm ArFエキシマレーザーの長時間照射にも高い耐性が得られます。 照射前後の透過率低下はほとんど生じません(図4)。
一般のレーザーグレード品ではレーザー照射後に透過率が低下します。
人工水晶中の不純物量に依存する吸収による透過率低下と考えられます(図5)。

【図4:「N-Grade EX」のレーザー耐久性】

【図4:「N-Grade EX」のレーザー耐性】

【図5:標準品のレーザー耐久性】

【図5:標準品のレーザー耐性】

レーザー照射条件:ArF エキシマレーザー 50mJ/cm2,100Hz,1×105 shot
装置:VARIAN社製 測定波長:190〜800nm

■耐放射線性

ガンマ線の吸収線量を大きくしても、放射線欠陥発生によるエネルギー吸収が低く抑えられます。
→宇宙環境においても優れた特性が得られることが予想されます。
※宇宙環境や放射線環境下で使用する振動子、カメラ、装置の窓材と是非お試しください。

主なアプリケーション

水晶波長板、偏光子、プリズム、各種窓材

宇宙用、原子力施設等の放射線環境下で使用する
水晶振動子用基板、部材

特にArFエキシマレーザー用光学部品に必須

紫外域領域を測定する分光計のプリズムに最適

航空機用角速度センサー用基板

X線モノクロメーター用基板

標準仕様

■ランバード

人工水晶のX,Z面を所定の寸法及び角度に加工したものがランバード人工水晶です。
ランバード人工水晶の加工面は高い精度で加工してあり、精度のよいウエハ切断が可能です。

ランバード

Z領域のみ及び種結晶を含まない状態にランバー加工してご提供します。

お問い合わせ

※特殊仕様については、お問い合わせください。

■ランバード/ブロック外形図

ランバード/ブロック外形図

使用上の注意

人工水晶をご使用の前に必ず下記をご熟読ください。
水晶は573℃において相転移をおこしα水晶からβ水晶に変化します。この相転移は可逆的ですが、β水晶からα水晶に転移するとき一様に転移がおこらないため、双晶が発生します。従いましていかなる場合もこの温度(573℃)以上にはしない様ご注意ください。

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