日本電波工業株式会社

「車載用SMD水晶振動子シリーズ:内部構造の利点について」

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はじめに
 水晶振動子は、その高いQ値によって高精度・高安定に周波数を制御し、かつ選択するユニークな電子部品の一つです。そして単に「周波数標準」としてだけでなく、「時間」や「時刻」の基準としても広く利用されています。
 水晶振動子が使用される用途には、時計をはじめスマートフォン・TV・オーディオなどの家電製品や自動車など様々なところで使用されています。近年自動車の電装化が進み、車載用水晶振動子のニーズは高く、その用途にあわせた高信頼性・ロバスト性を向上させた高度な設計技術が必要になってきています。
 今回、車載用水晶振動子において、業界シェア50%以上を堅持する日本電波工業が提案する車載用SMD水晶振動子シリーズの内部構造の利点について解説します。

1. 水晶振動子の構造
 水晶振動子パッケージは、中空構造になっており、外部端子と内部端子はセラミックベースに配線され接続されています。水晶振動子パッケージ内に搭載される水晶片は、人工水晶*1を切断・研磨・外形加工を行い、個片化した水晶片の表裏に金属薄膜電極を形成しています。水晶片の表裏に形成した電極を電気的に接続し機械的に保持するため、導電性接着剤を用いて、この水晶片を2点でセラミックベースへ保持接続します。この水晶片を保持したセラミックベースとカバーを用いて気密封止したものが水晶振動子です。水晶振動子は、セラミックベースの外部端子を発振回路に接続することで、内部で接続されている水晶片が機械的な共振点で振動しこれを電気的信号に変換することで、固有の周波数を得ることができます。
 当社車載用水晶振動子 NX3225GA(外形3.2×2.5㎜)の内部構造を紹介します。

NX3225GA 内部構造

2.水晶片保持構造
 車載用水晶振動子であっても上記で述べた通り、水晶片を2点で保持する構造もあります。
水晶片を2点で保持する構造であっても車載用途で要求のある信頼性:AEC-Q200 *2など十分満足する構造です。  しかし、車載用途では、高信頼性・ロバスト性向上のニーズは高まっており、内部構造を工夫したのが、水晶片を4点で保持する構造です。
 当社車載用水晶振動子:NX3225GB(外形3.2㎜×2.5㎜)の内部構造を紹介します。

NX3225GB 内部構造

3.水晶片4点保持構造の利点
 日本電波工業では、最新のシミュレーション技術を活用し構造設計しています。今回、落下衝撃と構造共振点のシミュレーションを実施しました。

① 耐落下衝撃性能の向上
 落下衝撃時の水晶片保持部加わる応力シミュレーション結果を以下に示します。
*シミュレーション条件:水晶振動子に衝撃を加えたときの接着部(水晶片と導電性接着剤)に
            かかる応力

水晶片4点保持構造の利点

 水晶片2点保持構造で、保持部に加わる応力を1とすると、水晶片4点保持構造では、その1/5の応力になります。これは、水晶片4点保持構造にすることにより応力が分散するためです。
 この水晶片4点保持構造にすることにより、耐落下衝撃性能が向上し、3m 200回コンクリート上に落下衝撃を加えても発振し続ける水晶振動子をご提供しています。
 このように水晶片保持に加わる応力を分散させた高信頼性・ロバスト性の向上した水晶片4点保持構造製品を日本電波工業ではラインナップし、お客様のニーズにお応えしています。
車載用水晶振動子 3225シリーズ NX3225GBNX3225GDNX3225SANX3225SC
         2016シリーズ NX2016GC・NX2016SJ(お問合せください

② 超音波溶着機と水晶振動子の共振現象を回避
 一般的に超音波溶着で基板組み付けなど行う場合、超音波溶着機の周波数は、約10kHz~40kHzで行われています。
 水晶振動子 3225サイズ(外形3.2㎜×2.5㎜)の構造共振点シミュレーション結果を示します。

構造共振点シミュレーション

水晶片保持構造

 水晶片2点保持構造では、約20kHzに構造共振点があることがわかります。一方、水晶片4点保持構造では、約90kHzに構造共振点があることがわかります。
 お客様で超音波溶着機をご使用する場合、超音波溶着機の周波数と水晶片2点保持構造の水晶振動子では共振点が重なり、共振現象により水晶振動子が内部破壊されることもあります。これを回避するため、お客様のご使用環境にあわせ設計した水晶片4点保持構造製品を日本電波工業ではラインナップし、お客様のニーズにお応えしています。
車載用水晶振動子 3225シリーズ NX3225GBNX3225GDNX3225SANX3225SC
         2016シリーズ NX2016GC・NX2016SJ(お問合せください



*1. 人工水晶は、日本電波工業で生産しています。
*2. AECは「Automotive Electronics Council (車載電子部品評議会)」 の略で、米国の大手自動車メーカと大手電子部品メーカが集まって作られた車載用電子部品の信頼性や認定基準の規格化のための業界団体です。
Q200は、受動部品のための各種信頼性試験を定めた認定基準です。
水晶振動子は、AEC-Q200に分類されます。


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