トップメッセージ

代表取締役
執行役員社長

加藤 啓美

    日本電波工業は1948年、「お客様への奉仕を通じて、社会の繁栄、世界の平和に貢献する」という創業理念に基づき、設立されました。創業理念には、高信頼、高品質で魅力ある製品を適正な価格で提供すればお客様のお役に立つことができ、ひいては社会の繁栄に貢献できる。また、正しい情報で人々がコミュニケーションすることが国際的な相互理解を生み、平和の礎となる、という創業者自身の戦争体験をもとにした思いが込められております。創業以来、周波数の制御と選択、検出をつかさどる水晶デバイスを主軸にして事業を拡大してまいりました。

    水晶デバイスは、時計や通信機器分野を主な用途としておりましたが、マイコンが様々な用途で使用されるようになってきたことを背景に、デジタル家電、自動車やスマートフォンに至るまで幅広い分野で使用されるようになりました。現在においては、本格普及が期待される5G通信で水晶デバイスは必要不可欠な役割が求められております。また、自動車分野でも、電気自動車の普及やその後に本格普及が期待される自動運転技術の進展などにおいても水晶デバイスが必要不可欠な役割を求められるものと予想されます。周波数はこれら用途におけるデータ通信やクロックに必要不可欠な要素であり、今後も将来にわたって精度の高い安定した周波数を生み出すデバイスを供給する会社であり続けたいと考えております。このことを明確にするため、当社は2030年に至るNDKグループのビジョンを"周波数でデジタル社会の未来を創る"といたしました。

    2023年度は、現中期経営計画(2022~2024年度)の2年目にあたる年となりました。新型コロナウィルス禍におけるサプライチェーン混乱の影響で顧客において積み上がっていた在庫が消化されるまで予想以上に時間を要することになった結果、新規受注が減少し、売上高は前期比減となりました。また、当社設備の稼働率を引き下げたことで利益も前期比減少しました。一方、有利子負債を着実に圧縮した結果、自己資本比率は目標としていた40%を上回り、財務体質の健全化を進めることができました。2024年度は、世界シェア50%を保有する車載領域、及び当社のフォトリソ加工技術での優位性を発揮できる移動体通信領域を中心に売上高は回復する見通しです。利益は前期比小幅な上昇にとどまる見通しですが、これはVision2030で掲げております2030年で売上高1000億円、営業利益率20%の実現に向け生産性を飛躍的に上げることを目的とした先行投資を実施すること等によるものです。

    今年度は、当社の持続的な成長に向けた準備期間として大変重要な年であり、Vision2030に向けた道筋をより確実にしてまいります。そして、5G時代に求められる高信頼で高精度の製品を提供し、安全・安心・快適なデジタル社会の未来を創ってまいります。

代表取締役 執行役員社長 加藤 啓美

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