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【コラム】5G基地局におけるOCXOの役割:高精度な通信を支える心臓部

※画像はイメージです
イントロダクション
次世代通信の要とも言える5Gネットワーク。その通信品質と信頼性を支えるために、見えないところで極めて重要な役割を果たしているのが「OCXO(恒温槽付水晶発振器)」です。本記事では、5G基地局におけるOCXOの役割や必要性、そして選定時に考慮すべきポイントについて解説します。
通信基地局と周波数の安定性
携帯電話やIoT機器の通信は、電波という"波"を使ってやり取りをしています。電波には「周波数」があり、5Gではサブ6GHz帯やミリ波帯と呼ばれる高い周波数(高周波)が使われています。周波数は、通信の安定性や速度に直結するため、極めて正確な制御が必要です。
基地局は、高周波を扱い、常に正確なタイミングで信号を送受信する必要があるため、内部に搭載されるクロック(時計)の精度が通信性能を左右します。ここで重要な働きをするのが水晶発振器であり、特に周波数安定度の高いOCXOが採用されることが多いです。
OCXOとは何か?
OCXOとは「Oven Controlled Crystal Oscillator(恒温槽付水晶発振器)」の略称です。特定の温度環境下で水晶振動子を常に安定動作させることで、非常に高い周波数安定性を実現する発振器です。一般的な水晶発振器(SPXOやTCXO)に比べて、温度変動や外部環境の影響を受けにくいため、長期にわたって信号の精度を保ち続けることができます。
OCXOの内部には、ヒーターを備えた小型の「恒温槽」があり、水晶振動子を常に一定温度に保ちます。これにより、外気温が変化しても周波数が揺らぐことがなく、極めて高い安定性を備えています。
なぜ基地局にOCXOが必要なのか?
通信基地局では、ネットワーク全体の時刻同期や周波数同期が不可欠です。例えば、以下のような場面でOCXOの性能が要求されます:
OCXO選定時のポイント
5G基地局用途でOCXOを選定する際には、以下の点が重要となります:
5G基地局に最適なNDK水晶デバイス製品の紹介
当社では、世界最小クラス(※1)で高精度のOCXO(恒温槽付き水晶発振器)「NH7050XA」「NH9070XB」を開発しました。具体的な特長は以下の通りです。
(詳細はニュースリリース「世界最小クラスOCXO 5G基地局、データセンター向け+105℃対応「NH7050XA」「NH9070XB」開発のお知らせ」を参照ください。)
※1. 2025年2月当社調べ。

製品特長
用途・市場
サンプル・量産時期
まとめ
5G基地局におけるOCXOは、単なる"発振器"ではなく、ネットワーク全体の安定と通信品質を陰で支える中核部品です。周波数の正確さと信頼性を求められる現代の通信インフラにおいて、OCXOの重要性は今後ますます高まると考えています。
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