技術コラム

2026.06.16

水晶振動子と水晶発振器の違いとは?構造・周波数の仕組みをわかりやすく解説

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イントロダクション

スマートフォンや車載機器、IoT機器など、さまざまな電子機器で使用されている「水晶振動子」と「水晶発振器」。 どちらも正確なクロック信号を作るために重要な電子部品ですが、その役割や構造には大きな違いがあります。

本記事では、水晶振動子と水晶発振器の違いをはじめ、構造や動作原理、周波数と水晶素板の厚みの関係について、初心者にもわかりやすく解説します。


水晶振動子と水晶発振器の違い

水晶振動子と似ている名称として水晶発振器が挙げられますが、その役割は大きく異なります。

水晶振動子は、水晶の圧電特性を利用して一定の周波数で振動する「受動部品」であり、単体では動作せず、発振回路と組み合わせて使用する必要があります。

一方、水晶発振器は、水晶振動子に加えて発振回路や出力回路を内部に搭載した「能動部品」であり、電源を供給するだけで安定したクロック信号を出力することができます。

一般的に、以下のように使い分けられます。

コストや低消費電力を重視する場合 → 水晶振動子
設計の容易さや安定したクロック信号の出力を重視する場合 → 水晶発振器

水晶振動子の構造

水晶振動子の構造は以下の図のようになっています。

水晶振動子の内部構造図

セラミックベース内部に、水晶を所定の厚み・サイズに加工した「水晶素板」を搭載し、電極を形成して固定します。

さらに、不活性ガスを封入したうえで金属カバーにより密封することで、外部環境の影響を抑え、長期的な周波数安定性を実現しています。


水晶発振器の構造

水晶発振器の構造は以下の図のようになっています。

水晶発振器の構造図

水晶振動子は単体では発振回路を持たないため、そのままでは周波数信号を出力できません。そこで、水晶振動子に発振回路や出力回路を組み合わせ、1つのパッケージに収めたものが「水晶発振器」です。

また、水晶発振器には、電圧制御機能(VCXO)や温度補償機能(TCXO)などの機能を追加したタイプもあり、より高い周波数安定度を実現しています。


水晶デバイスの周波数と水晶素板の厚みの関係

水晶デバイス(水晶振動子・水晶発振器)の周波数は、水晶素板の厚みによって決まります。

水晶素板は、ATカット※1など特定の角度で切り出され、厚みやサイズを精密加工することで目的の周波数を実現します。

ATカット水晶では、周波数と厚みの関係は以下の式で表されます。

ATカット水晶の周波数と厚みの関係
周波数(kHz)= 1670 ÷ 厚み(mm)

この式から分かるように、水晶素板の厚みと周波数は反比例の関係にあります。

例えば、水晶素板の厚みが0.1mmの場合、

1670 ÷ 0.1 = 16,700kHz(16.7MHz)

となります。

さらに、水晶素板の厚みを0.05mmにすると、

1670 ÷ 0.05 = 33,400kHz(33.4MHz)

となり、厚みが半分になると周波数は約2倍になります。

つまり、

水晶素板が厚い → 周波数は低くなる
水晶素板が薄い → 周波数は高くなる

という関係があります。

そのため、高い周波数を実現するためには、水晶素板をより薄く加工する必要があります。

高周波向けの水晶デバイスでは、水晶素板の厚みは約10μm(0.01mm)程度まで薄くなります。これは髪の毛の太さ(約100μm)の約10分の1に相当します。

また、水晶デバイス自体も近年では小型化が進み、外形サイズが1mm以下の製品(0.8mm×0.6mmサイズ)も実用化されています。 こうした小型・高周波製品を実現するためには、水晶素板を高精度に加工する技術が欠かせません。

※1:ATカットとは、人工水晶からZ軸に対し約35°15′傾けて切断したもので、水晶振動子や水晶発振器において、もっとも広く採用されている水晶の切り出し方です。


まとめ

水晶振動子と水晶発振器は、どちらも電子機器に欠かせない「正確な周波数信号」を生み出すための重要なデバイスですが、構造はもちろんのこと、役割も異なります。

水晶振動子は、水晶の圧電特性を利用して一定の周波数で振動する受動部品であり、外部の発振回路と組み合わせて使用されます。一方、水晶発振器は、水晶振動子に発振回路や制御回路を内蔵した能動部品で、電源を供給するだけで安定したクロック信号を出力できます。

また、水晶デバイスの性能は、水晶素板の加工精度や厚みに大きく左右されます。特に近年では、電子機器の小型化・高性能化に伴い、水晶デバイスにも高精度化・小型化・高安定化が求められています。

用途や求められる性能に応じて、水晶振動子と水晶発振器を適切に使い分けることが、電子機器の安定動作や高性能化につながります。

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