製品概要

概要-水晶発振器の分類

水晶発振器は、一般的に回路内容から4種類に分類されております。

パッケージ水晶発振器 (SPXO) Simple Packaged Crystal Oscillator

パッケージ水晶発振器は温度補償や温度制御をしていない水晶発振器です。水晶振動子は一般的にATカットが使用され、周波数温度特性は3次曲線です。パッケージ水晶発振器の周波数温度特性は、ほぼ水晶振動子の温度特性と同じになりますので3次曲線になります。
主な用途としては、通信機器、計測器、制御器等の基準発振器として、またコンピュータ、OA、情報端末機器等のクロック用水晶発振器として使用されます。

温度補償水晶発振器 (TCXO) Temperature Compensated Crystal Oscillator

温度補償回路を内蔵し広い温度範囲にわたって良好な温度特性が得られるように設計された水晶発振器です。
温度補償回路の感温素子としてサーミスタを用い、抵抗、コンデンサと組み合わせたものと、LSI内の素子を感温素子として用いて温度補償回路を形成したものがあります。
温度補償回路をLSI化したものでは,通常発振回路全体をワンチップのLSIで構成します。
温度特性の一例を図1に示します。
TCXOは温度特性が良好で消費電力が少なく、小型軽量、起動時間が短い等の特徴があり、各種通信機器(携帯電話・GPS・陸上移動無線・マイクロ波通信・衛星通信システム)をはじめ、周波数カウンタやシンセサイザ等の測定機器用の基準発振器として使用されます。
尚、外部電圧による周波数可変(VC、AFC)機能を持たせたVC-TCXO (Voltage Controlled TCXO) もTCXOとして扱われることがあります。

図1 周波数温度特性例

図1 周波数温度特性例

電圧制御水晶発振器 (VCXO) Voltage Controlled Crystal Oscillator

電圧制御水晶発振器は、水晶振動子と直列に可変容量ダイオードを挿入し、外部から印加した電圧によってダイオードの容量を変化させ、水晶振動子の負荷容量特性に応じた周波数可変量を得ている水晶発振器です。当社の製品は可変容量ダイオードの印加電圧と水晶振動子の容量特性及び発振周波数の組合わせを考慮することにより、広範囲の可変量と良好な周波数直線性が得られています。
この水晶発振器の温度特性は、基本的にはパッケージ水晶発振器(SPXO)と同じで、水晶振動子の温度特性と発振回路の温度特性の和となり3次曲線となります。
主に伝送機器・交換機器の同期用(PLL)、復調用(ジッターフィルター)として使用されます。

恒温槽付水晶発振器 (OCXO) Oven Controlled Crystal Oscillator

恒温槽付水晶発振器は、恒温槽によって水晶振動子の周囲温度を一定に保っているため、他の水晶発振器と比較し、温度特性が数段良くなっています。
この水晶発振器の温度特性は、恒温槽の槽内温度が水晶振動子の零温度係数点(3次曲線の変曲点)温度に設定されており、水晶発振器のどの部分が恒温槽に収容されているかということと、恒温槽の温度特性によりほとんどが決定されます。
また、動作温度範囲の下限は消費電力の最大値によって決まり、上限は恒温槽設定温度と回路消費電力の熱寄与率によって決定されます。
恒温槽付水晶発振器は、一般的に高安定水晶発振器とも呼ばれています。
この発振器に使用される水晶振動子は、極めて良好な環境下で高度な技術により開発、製造された製品です。この優れた水晶振動子を使用することにより、周波数エージング特性、短期安定度、周波数再現性、位相雑音及び温度特性の諸特性に優れた水晶発振器が製造可能となります。この恒温槽付水晶発振器は、移動体基地局等の各種通信機器、周波数カウンタ、スペクトラムアナライザ等各種電子計測機器の基準発振器として最適です。

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