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発振回路評価方法

ドライブレベル(励振レベル)(1)―概要―

今回は、ドライブレベル(励振レベル)(以下、「ドライブレベル」)の概要について、お伝えいたします。


ドライブレベルとは、発振に際して水晶振動子に供給される電力であり、以下の計算式により算出されます。


DL (μW) = RL (Ω)×i2 (mA)
DL:ドライブレベル
RL:水晶振動子の負荷時等価抵抗
i:水晶振動子に流れる電流値(実効値)



各水晶振動子の仕様にはドライブレベルの規格があり、動作保証されるドライブレベルの上限値が定められています。上限値を超えた場合に懸念される問題点は、スプリアスモードとの結合による異常発振(発振周波数への影響)です。以下、この問題について解説します。


ATカット水晶振動子は、厚みすべりモードを主振動の発振モードとして使用していますが、この他に数多くのスプリアスモード(屈曲振動、面すべり振動など)が存在します。ATカット水晶振動子の振動モードについて、図1に示します。


図1.ATカット水晶振動子の振動モード

図1.ATカット水晶振動子の振動モード


これらのスプリアスモードの周波数が特定温度において主振動の発振モードの周波数と結合することがあり、発振周波数に影響を及ぼします。


スプリアスと主振動の結合が起こりやすいのは、仕様に対してドライブレベルが過大の場合です。ドライブレベルが通常の場合(規格範囲内のドライブレベル)と過大の場合(規格範囲外のドライブレベル)で発振周波数温度特性がどのように異なるのかを図2に例示します。


図2.発振周波数温度特性

図2.発振周波数温度特性


ドライブレベルが通常の場合、図2(a)のように滑らかな3次曲線を描きますが、ドライブレベルが過大の場合、図2(b)のように特定温度範囲において発振周波数が急激に変化する現象(Activity dipと呼ばれている)が現れやすくなります。


回路検討においては、Activity dipの未然防止のため、ドライブレベル規格範囲内になる回路定数を提案するようにしております。

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