低濃度(100pg/mL~20ng/mL)インスリンの免疫計測

低濃度(100pg/mL~20ng/mL)インスリンの免疫計測

分子量5800のペプチドホルモンであるインスリンの計測を抗原抗体反応にて行いました。
増感剤として金コロイド標識インスリン抗体を使用しました。
この結果、反応電極側のみ反応する波形が得られました。
尚、本試験は株式会社森永生科学研究所にご協力いただき共同で行いました。
インスリン及び金コロイド標識インスリン抗体は同研究所のご提供試料を用いています。

1.プロトコル

  • センサ:30MHz ツインセンサ
  • 流速:50μL/min
  • サンプル量:100μL
  • 送液バッファー:PBS
  • サンプル:インスリン
  • 増感剤:金コロイド標識インスリン抗体

図1:模式図

2.反応波形

(1)まず抗体をインジェクションし、反応電極側に固定化しました。

図2:抗体固定波形

(2)サンプル計測と増感

次にインスリンのインジェクション、金コロイド標識インスリン抗体のインジェクションを行いました。
これを各インスリン濃度で連続して行いました。
図3に各濃度の反応波形を重ね合わせました。

図3:反応波形の重ね合わせ

3.濃度依存性

インスリンの濃度を0.1ng/mL, 0.5ng/mL, 1ng/mL, 5ng/mL, 10ng/mL, 20ng/mLとして計測し、増感後の値で検量曲線を作成しました(N=3)。
連続添加をしているため、反応量は累積値としました。

図4:増感後の検量曲線

4.用語解説

インスリン 膵臓から分泌されるホルモンの一種です。糖の細胞内への取り込みを促進する作用などから、血糖濃度の維持に関わっています。
金コロイド 金をコロイド状(ある物質に混ざるときにできる直径1-100nmの均一な粒子)にしたものです。金コロイドの表面に抗体を結合させた金コロイド標識抗体は、抗原に作用させると、金が凝集して赤色になる性質を持つため、抗原の染色に利用されています。本試験では、金コロイド標識抗体を流すことで、金コロイドの質量を生かした大きな増感作用を得ています。
arrow_upward