糖タンパクの解離定数算出

糖タンパクの解離定数算出

糖タンパクとレクチンの解離定数算出例をご紹介します。
アシアロフェツイン(糖タンパク)をリガンドとしてセンサ上に固定化し、コンカナバリンA(レクチン)をインジェクションし、その反応速度、反応量を計測しました。NAPiCOS付属の解析ソフト"NAPiCOS Analysis"を使用し計測データから解離定数を求めます。

1.プロトコル

  • センサ:30MHz ツインセンサ
  • 流速:50μL/min
  • サンプル量:100μL
  • 送液バッファー:PBS
  • サンプル:コンカナバリンA

図1:模式図

2.反応波形

図2:結合と解離の波形

図3:コンカナバリンA添加時の差分波形

3.解離定数算出

当社解析アプリケーション"NAPiCOS Analysis"を使用し、コンカナバリンA濃度 10μg/mL, 20μg/mL, 50μg/mLの反応量から解離定数及び反応速度定数を求めました。
3種類の解析方法を用いた解離定数、反応速度定数は下表に示します。
反応速度定数はKinetics法のみ算出可能です。

表1:解離定数及び反応速度定数の計算結果

4.用語解説

アシアロフェツイン 糖タンパクの一種で、分子量は約40,000です。フェツインという糖タンパク質からシアル酸を除去したものです。
コンカナバリンA レクチン(糖鎖結合性タンパク質)の一種です。赤血球表面の糖鎖に結合し、赤血球を凝集させる機能を持ちます。中性で4量体を形成し、分子量は約100,000です。
解離定数 化学平衡状態にある状態の、反応物質と生成物質の濃度の比です。物質間の親和性の尺度として利用されています。
反応速度定数 化学反応において、反応物質または生成物質が増減する速さのことです。
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