DNAの二本鎖形成とタンパク質の結合

DNAの二本鎖形成とタンパク質の結合

一本鎖DNAと相補DNAの結合、及び一本鎖DNAとタンパク(single-strand binding protein, SSB)の結合反応を行いました。

1.プロトコル

  • センサ:30MHz ツインセンサ
  • 流速:20μL/min
  • サンプル量:100μL
  • 送液バッファー:TNE (10mM Tris-HCl, pH8.0, 150mM NaCl, 1mM EDTA)
  • DNA:ビオチン化オリゴDNA(20mer)5μg/mL biotin-5'-AGGGACTTTCCTGACGTGT-3'
    相補DNA(20mer)10μg/mL 3'-TCCCCTGAAAGGACTGCACA-5'
  • SSB:2.5μg/mL

図1:模式図

(1)反応電極側にアビジンを固定し、リファレンス電極側をブロッキングします。
ビオチン化一本鎖DNAを流し、反応電極側に固定した後、SSBの結合反応を見ます。

(2)NaCl溶液でSSBを溶出後、相補DNAを流します。再度SSBを流します。

2.反応波形

2-1. ビオチン化オリゴDNAを流し、アビジン固定電極に固定しました。その後、SSBを流して一本鎖DNAとの結合を確認しました。

図2:ビオチン化DNA固定及びSSB結合波形

2-2. NaClによりSSBを溶出後、相補DNAを流して二本鎖の形成を観察しました。その後、SSBを流し、二本鎖DNAに結合しないことを確認しました。

図3:二本鎖DNA形成及びSSB添加後の波形

3.参考

相補DNAと結合性の無いDNA配列(ランダムDNA)を固定し、反応を見ることも可能です。

図4:模式図

(1)両電極にアビジンを固定します。その後、ビオチン化DNAを各電極にそれぞれ固定します。

(2)相補DNAを流した後、SSBを流します。

図5:反応波形

相補DNAは1chにのみ反応します。二本鎖が形成されているため、続くSSB添加で反応は見られません。
対して2chは相補DNAは結合しませんが、一本鎖であるためSSBの結合が観察されます。

4.用語解説

DNA (Deoxyribonucleic acid) DNAはアデニン、グアニン、シトシン、チミン(それぞれA,G,C,T)の4つの塩基及び糖、リン酸から構成されます。二本のDNAが塩基を中心に常に逆向きに結合する性質を持っています。この塩基の配列によって多様な遺伝情報を保持しています。
相補DNA ある一本鎖DNAに対し、逆側の一本鎖DNAのことを相補DNAと呼びます。塩基にはそれぞれ対になる相手が決まっているため(AとT、GとC)、相補DNA配列も1つしかありません。
SSB (Single Strand Binding Protein) 一本鎖DNAにのみ特異的に結合するタンパク質です。二本鎖の形成を妨げる機能を持ちます。
オリゴDNA 人工的に合成した一本鎖のDNAのことです。
ランダムDNA 標的DNA配列を含まず、ランダムに塩基をつなげたDNAです。
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