DNAへの転写因子結合
1.プロトコル
以下の条件で計測を行いました。
* 赤字はNF-κB標的配列
上記2つの合成DNAを混合して50μg/mLとし、二本鎖を形成させておきます。
図1:模式図
反応電極側にアビジンを固定し、リファレンス電極側をブロッキングします。
ビオチン化二本鎖DNAを流し、反応電極側に固定した後、p50の結合反応を見ます。
その後、抗p50抗体を流し、反応の増幅を見ます。
2.反応波形
2-1. ビオチン化二本鎖DNAを流し、アビジン固定電極に固定しました。
図2:ビオチン化二本鎖DNA固定波形
2-2. 引き続きp50を添加した後、抗体を流して増感しました。
図3:p50及び抗p50抗体結合波形
2-3. 特異性評価のため、ランダム配列のビオチン化二本鎖DNAをアビジン電極に固定し、その後にp50を流しました。
図4:ランダムDNA固定、p50添加波形
3.反応量
2項の波形から、差分反応量を取得しました。
p50はNF-κB標的配列特異的に結合していることが分かります。
表1:DNAとp50の反応量
*ランダム二本鎖DNAは20merであり、分子量がNF-κB二本鎖DNAの約80%です。このため反応量も約80%となります。
4.用語解説
転写因子 | DNAに結合するタンパク質の総称で、DNAの遺伝情報をRNA(リボ核酸)に転写する機能を持ちます。 |
NF-κB (Nuclear Factor Kappa B) | NF-κBはp50(分子量約50,000のタンパク質)とp65(分子量約65,000のタンパク質)で構成されている転写因子です。活性化されると標的DNA配列に結合します。p50はp65とのヘテロ二量体のみではなく、p50-p50のホモ二量体も形成します。NF-κBは細胞死を抑制したり、、炎症を促進する機能を持つことから、癌の進行を促進するとされています。 |
DTT (Dithiothreitol) | 低分子の還元剤です。タンパク質のSH基を保護し、安定化します。 |
ホモ二量体 | 同一物質2つの複合体です。異なる2つの複合体はヘテロ二量体と呼びます。 |