低分子物質の計測

低分子物質の計測

低分子物質の計測の一例をご紹介します。競合阻害法を利用すれば、質量の大きい物質の計測に置き換えることができます。この方法により、低分子物質であるビオチンの計測が可能となりました。

1.プロトコル

  • センサ:30MHz ツインセンサ
  • 流速:50μL/min
  • サンプル量:100μL
  • 送液バッファー:PBS
  • サンプル:ビオチン (分子量:244)

図1:ビオチン計測の模式図 (直接競合阻害法)

(1)ブランク計測

ストレプトアビジンを固定化したセンサに、ビオチン結合BSAをインジェクションします。得られた反応量をブランク値とします。

(2)競合阻害計測

(1)と同濃度のビオチン結合BSAに、ビオチン単体を予め混合してインジェクションします。ストレプトアビジンに対し、ビオチンとビオチン結合BSAで競合が起こり、ビオチン結合BSAの結合量が(1)より減少します。

2.反応波形

ビオチン結合BSAをインジェクションしたブランク波形(図2左)、及び1mg/mLのビオチンが共存した波形(図2右)となります。いずれも1% DMSOがサンプル溶液に含まれているため、組成の変化により一度周波数が低下します。その後送液バッファーに切り替わると、結合した分の反応量が各々得られます。ブランク波形と比較し、反応量が低下していることが分かります。

ブランク波形
10μg/mLのビオチン結合BSA(1% DMSO)

ビオチン共存波形
10μg/mLのビオチン結合BSA、1μg/mLのビオチン(1% DMSO)

図2:計測波形

3.濃度依存性

表1に従い、ビオチン濃度を1ng/mL, 10ng/mL, 100ng/mL, 1μg/mL, 10μg/mLとして競合阻害計測を行い、Logit変換後検量曲線を作成しました。

表1:各試料の濃度

ビオチン濃度に対する反応量(Hz)及び結合量(pg/mm?)

Logit変換後の検量曲線

図3:ビオチン検量曲線

4.抗菌剤Xの計測

分子量約300の抗菌剤の一種を実計測例として示します。10ng/mLと低濃度でも定量可能であることが示されました。

抗菌剤Xの濃度に対する反応量(Hz)及び結合量(pg/mm?)

Logit変換後の検量曲線

図4:抗菌剤Xの検量曲線

arrow_upward