製品概要

切断方位と周波数温度特性

 水晶振動子は、その発振周波数が非常に安定であるということで広く利用されており、温度特性の良いものが要求されます。
 しかし、水晶振動子用として切り出された水晶片も一般の材料と同様に温度変化の影響を受けて、発振周波数が変化します。発振周波数の変化の程度(周波数温度特性)は、切断方位によって異なります。図3は、それぞれの切断方位の代表的な周波数温度特性を示したものです。温度特性の良い水晶振動子を得るために、どのようにしているか、代表的な水晶板であるATカットについて図4で説明します。
 図4は切断角度の異なった3つの温度特性を示しています。図から明らかなように②の曲線は常温付近では、温度変化に対する周波数の変化が小さく、例えば-10~+60℃の範囲で使用する用途には非常にすぐれた特性が得られます。
 しかし、例えば-55~+105℃という広い温度範囲で使用する場合には、むしろ①の特性を使用する方が周波数変化を良好に保つことが可能になります。
 従って、その使用目的、使用温度範囲に対して、製造及び経済的な見地から最も適当な温度特性を決定しなければなりません。
 図5はATカットの切断角度を2分ずつ変えた場合の周波数温度特性を示したものです。振動子の使用温度範囲およびその温度範囲における周波数許容変化幅で切断角度の許容幅が決定されます。
 図6は周波数温度特性規格に対する切断角度の許容幅(実現の困難さ)を示したものです。図から製造難易度(コスト)、実現不可領域が存在する事がわかります。


図3 主な切断方位と周波数温度特性の関係


図4 ATカット水晶振動子の周波数温度特性例

図5 ATカット振動子の周波数温度特性


図6 周波数温度特性実現の難易度
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