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最新5GスマートフォンにNDKのフォトリソグラフィー技術が採用

最新5Gスマートフォンに
NDKのフォトリソグラフィー技術が採用

クアルコムのICにファースト認定を取得した
優れた温度特性の水晶ブランク

今まさに広がりつつある5G通信の世界でも、NDKの水晶デバイスは活躍しています。スマートフォンは、従来のLTE方式から、高周波対応が必要とされる5G方式の端末へと置き換わるため、超小型で高周波に対応できるNDKの水晶デバイスの採用がよりいっそう進んでいくことが予想されます。

スマートフォン生産動向のうち5G端末の占める割合

スマートフォン生産動向のうち5G端末の占める割合

富士キメラ(2021 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査:
2021年3月発刊)

移動体通信が5Gへ移行するのに伴って、チップセットに使われるクロック源の高周波数化が進み、低位相ノイズが求められるようになりました。特にミリ波(24GHz超)などのキャリア周波数帯へ対応するためには、内部クロックの逓倍数を増やしていましたが、逓倍数が増えるのに伴い雑音成分が多くなることで、信号の位相と振幅のズレによる受信感度の劣化や通信効率の低下を招くという懸念がありました。

この対策には、装置内部の基準発振源を通常の38.4MHzから76.8MHzへと高周波化して逓倍回数の削減により位相ノイズを改善すること、また、さらなる低ノイズを実現するために、水晶振動子自体のドライブレベルを引き上げ、温度特性を安定して維持することが求められていました。

このような要望に対し、NDKでは、2008年頃より小型化・高周波化のために開発を進めてきた、写真製版技術(フォトリソグラフィー技術)を応用した水晶振動子のブランクで応えました。数々の試行錯誤の末に導き出された外形寸法と形状に到達したことで、小型かつ高周波で、生産歩留まりの良いフォトリソブランクを実現。長年にわたる研究成果が日の目を見るときが来たのです。

このフォトリソブランクは、ドライブレベルを大きくしたときの周波数安定度に優れており、温度変化に対する周波数特性のばらつきも少なく、非常に安定した特性を示します。

DL vs ΔF/F 温度特性TC_F
DLvsΔF/F 温度特性TC_F

【左:ドライブレベルに対する周波数安定度 右:周波数温度特性 】

この優れた特性が、米国クアルコム・テクノロジーズ社の5Gスマートフォン用チップセット※の要求仕様を満たし、同社の水晶振動子製造会社として、NDKは世界で初めて認定取得に至りました。

当製品は順調に受注を拡大していることから、製造ラインの増設を計画しています。2021年7月の稼働を目指すなど、今後も製品の安定した供給に向けて努めてまいります。

※5G Mobile Platform向けQualcomm Snapdragon 690, 750G

クアルコム・テクノロジーズ社にファースト認定された水晶振動子 NX1612SD

【クアルコム・テクノロジーズ社にファースト認定
された水晶振動子 NX1612SD】

電子機器の小型化を見越し
最先端のフォトリソグラフィー技術に取り組む

フォトリソブランクの開発を始めた当時、さまざまな電子機器は、小型化・高性能化・多機能化が進むという将来像を描いていました。小型機器向け水晶デバイスに使われる水晶ブランクは、やがて従来の機械工法での加工や生産が困難になると予測。そこで、フォトリソグラフィー技術の応用に白羽の矢が立ったのです。

水晶振動子サイズの推移

水晶振動子サイズの推移

NDKにおけるフォトリソブランクのプロセスフローは、まず、水晶基板表面にメタルを成膜後、レジストを塗布し、露光・現像で外形形状用のマスクをパターニング(1)。その後、ウェットエッチングにより水晶を溶解し、外形を形成します(2)。共振周波数は素板の厚みと反比例するため、ウェットエッチングにより求める周波数の厚みに調整し(3)、こうして形成された水晶ブランクに電極を形成することで(4)、完成へと至ります。

これにより、サブミクロンオーダー※の加工精度を施した、小型で高精細な水晶ブランクの量産を実現しました。今では、NDKのフォトリソブランクは、5G対応のスマートフォンに採用されているほか、完全ワイヤレスステレオ(TWS)用のワイヤレスイヤホン、スマートウォッチにも採用されており、機器の小型化や薄型化に貢献しています。

※サブミクロン:1/10000mm

NDKフォトブランクのプロセスフロー(概略図)

NDKフォトブランクのプロセスフロー(概略図)

安定して大量生産を可能にする
4インチウエハ

現在、一般的なフォトリソブランク用のウエハは、小型の2インチサイズが主流です。安定した周波数特性が得られず、廃棄するブランクが大量に出てくるため、小さなウエハでしか生産できないのです。

しかし、NDKでは高品質大型水晶原石育成の長年の研究により、倍の4インチサイズウェハでの量産にいち早く取り組むことで、ブランク性能の向上や取り数の最適化について、他社に先駆けて成功しました。ウエハ1枚当たりの数が増え、安定した均一品質の水晶ブランクを大量につくることができるため、不良による原石廃棄のリスクも少なく、コストや品質面からも他社と差別化できる工法です。

原石品質に優れたNDKのウエハ

NDKには、IEC国際規格において“1aa等級”に適合する、結晶欠陥が非常に少ない水晶原石を育成し加工する技術があります。

【水晶原石育成】

【水晶原石育成】

【高品質大型水晶原石】

【高品質大型水晶原石】

【フォトリソ加工】

【フォトリソ加工】

大きなウエハをつくるには、大型で純度の高い水晶原石が必要です。NDKでは、フォトリソブランク用の高品質原石を自社で育成・製造しています。原石を切り出して微細加工を施し、最適なサイズへのウエハ化を行なう。当社が長年にわたって蓄積してきた、この技術的なノウハウは、高品質で高性能な水晶ブランクの一貫生産に欠かせない礎です。

今後は、いま以上の生産性向上を目指し、原石育成から製品に至るまでの品質を確保することで市場における競争優位を維持し続けてまいります。

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