宇宙空間は真空・無重力・強い放射線という、地上とはまったく異なる環境です。このような極限状態では、材料や部品から放出される「わずかな揮発成分(アウトガス)」が、光学機器や観測装置の性能に大きな影響を与えることがあります。特に問題視されているのが「分子汚染(コンタミネーション)」です。材料から放出された微細な成分が、衛星内部の光学面に付着することで、観測精度や感度の低下といった不具合につながる可能性があります。
地球観測衛星や天文観測衛星などの宇宙機から放出されるアウトガスにより外部が汚れると・・・
人工衛星のアウトガス汚染
光学観測画像汚染の品質低下例
(土星探査機「カッシーニ」撮影写真*)
*V. R. Haemmerle and J. H. Gerhard, "Cassini Camera Contamination Anomaly: Experiences and Lessons Learned," AIAA paper, AIAA-2006-5834 (2006).
近年、宇宙機器の構成部材には軽量化や低コスト化が求められ、接着剤や樹脂系材料、複合材料の使用が増えています。しかし、これらの材料が宇宙環境下でどのように反応するかが課題となっています。
このような観点から、材料レベルでのアウトガス評価の重要性が再認識されています。
写真ご提供:宇宙航空研究開発機構(JAXA)様
当社は、JAXA様との議論やニーズ共有を経て、QCMを用いたアウトガス評価技術の実装に取り組んでいます。
また、本評価技術は実際にJAXA様での材料評価実験に使用されており、当社QCMセンサの信頼性と再現性は、宇宙機開発現場での実運用を通じて検証されています。