製造現場では、材料から放出されるごく微量なアウトガスが、製品品質や工程の信頼性に予想以上の影響を与えています。微細化が進む半導体製造では、成膜ムラや感度低下、歩留まり悪化といった課題に直結します。また、自動車・医療機器・航空機分野においては、真空や高温環境下で機器の誤動作や信頼性低下を招くリスクもあります。
QCM(Quartz Crystal Microbalance)技術は、材料から放出されるアウトガスの質量変化をナノグラム単位で測定するセンサ技術です。リアルタイムかつ定量的に変化を捉え、加熱条件ごとのアウトガス発生プロファイルを可視化。材料ごとの特性比較や工程の最適化に貢献します。
高感度・ナノグラム単位の質量変化検出
温度条件ごとのアウトガスプロファイル取得
真空条件下での再現性の高い評価
材料開発・工程改善への活用
コーティング材・シリコン材料の選定段階で、成膜ムラや汚染リスクを事前評価。
【 TQCM搭載小型真空チャンバシステムによる低分子環状シロキサンQTGA特性 】
低分子環状シロキサンD4(4量体)~D8(8量体)に対して、分子量が大きな環状シロキサンほど、高温で脱離
脱離温度からシロキサン種類を同定し、放出レートから含有量の評価が可能
樹脂や添加剤使用部材の採用前に、安全性や規制リスクを確認。
【 TQCM搭載小型真空チャンバシステムによる低分子環状シロキサンQTGA特性 】
| DIBP | DBP | BBP | DEHP | |
|---|---|---|---|---|
| 分子量 | 278.35 | 278.35 | 312.37 | 390.56 |
| 沸点(℃) | 296.5 | 340 | 370 | 386 |
フタル酸エステルも分子量が多く、沸点が高いほど高温で脱離
脱離温度からフタル酸種類を同定し、放出レートから含有量の評価が可能
硬化時に生じるガスが電子性能や信頼性に与える影響を評価。
【 脱離ガスの確認 】
200℃60分硬化 QTGA特性
300℃60分硬化 QTGA特性
200℃60分硬化を300℃にあげることで残留アウトガスが除去される
硬化条件の検証に有効
真空機器や宇宙機器における密封材のガス放出リスクを事前評価。
フッ素(FKM)は、シリコーン(VMQ)、ニトリル(NBR)と比較してアウトガスの発生量が少なく、アウトガスが影響する環境においては材質として優位
また真空ベーキングによる脱ガス処理によって、アウトガスの発生を減少させることが可能
真空中で使用する材料選定や材料の脱ガスに要する時間の検証に有効
真空下でのケーブル材料の適合性や影響を検証。
フッ素樹脂ケーブル(FEP,
ETFE)は、塩化ビニル樹脂ケーブル(PVC)と比較してアウトガスの発生量が少なく、アウトガスが影響する環境においては材質として優位
PVCは同じ規格品でA社品とB社品を比較したが、いずれもアウトガスが発生し続ける傾向にある。同じPVCでもアウトガス成分や発生量が異なることを確認
真空中で使用する材料選定や同じ材料成分での比較検証として有効
残油分のアウトガスが製品性能へ与える影響を測定。
切削加工金属部品の受入時に油成分が残っていたとしても、適切に洗浄することで除去できることを確認
切削加工金属部品の受入れ検査や洗浄条件の検証で有効
高温・真空環境下での残留成分の放出挙動を可視化。
基板洗浄を行うことで、フラックスの残渣成分が基板から除去されるが、洗浄剤によっては、洗浄剤の残渣の影響が残ることを確認
洗浄剤選定や洗浄条件の検証で有効
製品開発や評価の現場では、アウトガスの「何が出ているか」だけでなく、「どれだけ影響を与えるか」を把握することが求められます。
この2つを組み合わせることで、材料が工程に及ぼすアウトガス挙動を多面的かつ実用的に評価できます。
| 項目 | QCM(Quartz Crystal Microbalance) | Q-mass(四重極型質量分析計) |
|---|---|---|
| 測定対象 | 凝着質量(TML/CVCM相当) | 揮発成分の質量と濃度 |
| 測定原理 | 水晶振動子の周波数変化 | m/zによる成分識別 |
| 得意なこと | 微量成分の定量・時間変化 | 成分の同定(定性) |
| 使い方の違い | どれだけ出たか | 何が出たか |
QCMは、材料から放出された成分が実際にどれだけセンサ表面に付着するかを捉えることで、工程中のリスクや製品への影響をリアルに評価できます。